令和5年12月定例会報告(その1)獣害等の被害防止について
令和5年12月定例会において、八木きよみは5つのテーマで一般質問を行いました。
<獣害及び特定外来生物の被害防止について>
(1)クマによる人的被害・農作物被害の防止について
〔八木〕
全国的にクマによる人的被害や農作物等への被害が頻発している中で、これらの被害を防止していくためには、長期的な視点に立って対策を講じていく必要があると考えます。長野県におけるベアドッグを活用しクマを傷つけずに山へ帰す対策や、兵庫県における生息数の推定に基づく駆除など、他県における成功事例を収集し、市町村と連携しながら対策を講じる必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
〔知事〕
クマの被害防止について、県では先進県の成功事例を収集し、専門家から助言を頂きながら、AIカメラによりクマの出没を検知し、速やかに住民へお知らせするシステムの開発や、地域における鳥獣被害対策の指導者を育成する研修会の開催などに取り組んでいるところです。引き続き、他県の先進事例を収集・分析をしていくとともに、市町村や関係者と一体となって、クマによる被害防止対策にしっかりと取り組んでまいります。
(2)獣害対策の人材育成について
〔八木〕
獣害対策を講じるうえで必要な狩猟者が不足しているという声を聞いています。市町村と連携し、長期的な視点で、若者の狩猟免許取得推進や訓練用の射撃場設置などの環境整備により、人材育成を行う必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
〔知事〕
県では狩猟等に関心のある方や狩猟免許の取得を希望する方への講習会、経験の浅い狩猟者等を対象とした技能向上研修会などを開催し、獣害対策等の担い手の確保・育成に取り組んでいるところです。また、県猟友会が県内全市町村と一体となり、担い手育成に重要な役割を果たす大口径ライフル射撃場の整備を進めているところです。県といたしましては、引き続き、これら取組の充実や支援を通じて、人材の確保・育成に努めてまいります。
(3)野生鳥獣被害の実態と県の対応について
〔八木〕
イノシシ、サル、クマなどによる農作物等への被害が大きいとの声を聞いていますが、被害の実態をどのように認識しているのか伺うとともに、それらの被害データに基づき、例えば生産者への補償など、県としても支援を行う必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
〔知事〕
令和4年度の野生鳥獣による農作物被害額は約2億4,000万円であり、近年、高止まりしている状況にあると認識しております。このため、県では、捕獲による個体数・個体群管理を進めるとともに、集落環境診断などによる侵入防止対策や、藪刈り払いなどによる寄せ付けない対策などを組み合わせ、総合的な被害防止対策に取り組んでいるところです。また、農業者が安定的な収入を確保し、安心して経営を継続できるよう、野生鳥獣による被害をはじめ、様々なリスクに対応可能な収入保険制度や、農業共済への加入促進にも取り組んでまいります。
(4)中小型獣類による農作物被害の実態と県の対応について
〔八木〕
テン、イタチ、ハクビシン、アライグマ等の小型動物による果樹等の園芸農作への食害が出ていると承知しています。中小型獣類による農作物被害の実態を県はどのように認識しているのか伺うとともに、今後園芸作物を推進していくうえで、有効な駆除方法等を周知していく必要があると考えますが、所見を伺います。
〔農林水産部長〕
令和4年度の中小型獣類による農作物被害額は約3,600万円であり、令和3年度に比べ約1割減少しておりますが、アライグマなどは生息域が拡大していると認識しております。中小型獣類は、体の大きさだけでなく、木を登る、穴を掘るなど、能力や特徴が異なるため、足跡や食害跡、センサーカメラで獣種を特定した上で、捕獲などの対策を講じる必要があると考えております。このため、県では、対策の中心を担う市町村やJAの職員、集落のリーダー等から、有効な捕獲に必要な知識や技術を習得していただくための研修会を開催しております。引き続き、対策を担う人材の育成などを通じて、園芸作物を含めた農作物の被害防止に取り組んでまいります。
(5)クビアカツヤカミキリの被害防止について
〔八木〕
報道によると、特定外来生物であるクビアカツヤカミキリの被害が、群馬県など13の都府県で確認されています。桜や梅、桃など多くの樹種に寄生しますが、他県においては特に桜への被害が甚大とのことです。本県にも日本三大夜桜の高田城址公園をはじめとした全国有数の桜の名所が観光地となっており、影響が懸念されます。クビアカツヤカミキリの被害を防止するため、今後県はどのように対応するのか、所見を伺います。
〔環境局長〕
本県において、これまでにクビアカツヤカミキリの発生は確認されておりませんが、隣県では被害が確認されていることから、国や隣県等の被害情報を把握し、市町村等関係機関に対して防除の必要性や処分方法等を周知することで、早期の発見と被害の拡大防止に繋げてまいります。また、この害虫が発生した場合は、果樹や森林などに大きな影響を与えることから、国が求める防除体制の整備を進めるとともに、北海道東北地方知事会として、調査や防除のための支援を国に要望したところです。