令和5年12月定例会報告(その3)観光について
<『佐渡島の金山』の世界遺産登録と県内周遊観光について>
(1)「佐渡島の金山」県市連携講座の視聴機会の確保について
〔八木〕
「佐渡島の金山」の文化遺産としての価値と、世界遺産登録を契機とした取組などを紹介する県市連携講座が11月から県内3会場で開催されました。世界遺産登録に向けた機運を高めるためには、このように県民が歴史・文化や世界遺産登録に向けた取組を学ぶ機会は重要です。開催がなかった市町村や参加できなかった県民向けに講座を視聴する機会を設けることが望ましいと考えますが、所見を伺います。
〔観光文化スポーツ部長〕
議員ご指摘のとおり、参加できなかった県民向けに講座を視聴できる機会を設定することは有意義であると考えており、関係者と調整の上、動画の公開に順次対応してまいりたいと考えております。
(2)「佐渡島の金山」の世界遺産登録と県内周遊観光について
〔八木〕
「佐渡島の金山」の世界遺産登録後には、国内外から多くの観光客が押し寄せることが想定されます。他県においては、公共交通機関の過剰な混雑や騒音など、オーバーツーリズムと言われる現象が起こっていると承知しています。佐渡市と連携しながら、このようなオーバーツーリズムを防ぎつつ、観光振興を図っていく必要があると考えますが、知事の所見を伺うとともに、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
〔知事〕
「佐渡島の金山」の世界遺産登録後のオーバーツーリズム対策と観光振興の両立については、登録の効果を最大限引き出し、持続可能な観光を実現していくためには、オーバーツーリズムに伴う住民生活への影響に配慮しながら、観光振興に取り組むことが重要であり、今後増加が見込まれる観光客の受入環境をしっかりと整えていく必要がるものと考えております。
〔観光文化スポーツ部長〕
地元佐渡市では、登録後、マイカー利用客の増加に伴う道路渋滞などが懸念されることから、主要観光施設への路線バスの延伸のほか、車の乗り入れを抑制するためのパークアンドライドなどを検討しているところです。加えて、旅行者のマナー違反を防止するため、住居区域に隣接する観光スポットの見学可能エリアを明示するなど、引き続き、啓発活動にも取り組むこととしております。県として、こうした情報発信を協調して実施するなど、佐渡市や関係機関と緊密に連携を図りながら、今後想定されるオーバーツーリズムへの対策を講じてまいります。
(3)二次交通の充実について
〔八木〕
オーバーツーリズムを防ぐためには、空港や主要駅等から観光地を結ぶ二次交通の充実は重要です。県内交通事業者においては、赤字経営に陥っている事業者も少なくない中で、どのように二次交通を充実させていくのか、知事の所見を伺います。
〔知事〕
空港や主要駅等と観光地を結ぶ移動手段の確保・充実は、観光客の利便性向上のために重要と考えております。一方で、二次交通の充実に向けては、バス事業者をはじめとした交通事業者の採算性や運転手の確保等が課題であると認識しております。このため、県としては、市町村や民間事業者とも連携しながら、安全運行に向けた様々な移動ニーズの掘り起こしとともに、地域の交通資源のフル活用により、移動手段の確保を図ってまいりたいと考えております。
(4)レンタカーやレンタサイクルを活用した観光客の利便性向上について
〔八木〕
県内では、最寄りの駅からの二次交通が整備されておらず、観光客にとって不便な観光施設があると承知しています。新たなバス路線などの整備が難しい場合には、市町村等と連携し、レンタカーやレンタサイクルなどが設置されれば、利便性が高まるのではないかと考えますが、所見を伺います。
〔観光文化スポーツ部長〕
レンタカー等は、路線バスなどの二次交通を補完する移動手段として、旅行者の利便性を高め、周遊型観光を促進するものと考えております。現在、県内のレンタカーは、10年前の約1.5倍に増加しており、レンタサイクルも、電動アシスト付き自転車を中心に、各地で導入が進められております。一方、今後も増加が見込まれる国内外からの観光客に対応していくためには、それらの導入を更に促進していく必要があると考えております。県としては、市町村などに対し、国の支援事業等の活用を促すとともに、レンタサイクルで巡るモデルコースを提案するなど、引き続き、旅行者の利便性向上に努めてまいります。
(5)観光人材の確保・育成の取組について
〔八木〕
世界遺産登録後には、佐渡だけでなく、県内全域における観光客増加が望まれますが、観光施設や宿泊施設等における観光人材を確保・育成し、充実したサービスを提供することが、リピーター獲得において重要と考えます。県として、どのように観光人材の確保・育成を行っていくのか、所見を伺います。
〔観光文化スポーツ部長〕
議員ご指摘のとおり、リピーターの獲得に当たっては、訪れた旅行者に対して、充実したサービスやおもてなしを提供する、観光人材の確保・育成が重要と考えております。県内の宿泊施設では、お客様目線を重視したスタッフ研修などを継続的に行っているほか、地域の観光協会では、旅行会社との交渉といった現場レベルの経験を次世代につなぐ出前授業などにも取り組んでいるところです。県としては、こうした取組を県内関係者に普及するとともに、業界団体との連携による各種研修会やセミナーなどを開催しながら、観光人材の確保・育成を図ってまいります。
(6)県内の成功事例を横展開することによる観光地の活性化について
〔八木〕
月岡温泉街の魅力向上に取り組む合同会社ミライズが、地域活性化の取組を表彰する「第13回地域再生大賞」で、特別賞の「歩いて楽しいまちづくり賞」を獲得するなど、全国的に注目されています。後継者不足などが原因で、地域の活性化に危機感を抱いている観光地にとって参考になる成功事例であり、県としてこのような事例を横展開し、県内観光地の活性化を図るべきと考えますが、所見を伺います。
〔観光文化スポーツ部長〕
地域活性化の成功事例については、議員ご指摘の合同会社ミライズの取組をはじめ、県内では「燕三条工場の祭典」や「大地の芸術祭」などが全国的にも注目されております。こうした事例は、後継者不足などの様々な課題解決にもつながることから、県内で広く普及させるため、関係事業者等と共有する場を設けてきたところです。今後も、県内外の成功事例の情報収集と共有に努め、県内観光地の活性化を図ってまいります。
(7)周遊型観光の推進における県の役割等について
〔八木〕
観光業界の潮流は滞在型・体験型ですが、観光誘客による経済効果を県内に広く波及させるためには、周遊型観光の推進も必要です。文化資源や観光施設等をテーマに基づいて結びつけ、観光客にとって魅力的なストーリーを描くことが重要と考えます。県には、このストーリーをプロデュースする役割が期待されますが、知事の所見を伺うとともに、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
〔知事〕
周遊型観光の推進に当たっては、県内の観光コンテンツを、歴史や文化等のストーリーにより有機的につなぎ、広域観光ルートとして提案していくことが重要と考えております。また、周遊型観光は、幅広いエリア全体の消費拡大などの経済効果が期待できることから、県として、魅力的なストーリーづくりに取り組み、その推進を図ってまいります。
〔観光文化スポーツ部長〕
周遊型観光の推進に向けた今後の取組について、県では、これまで中央日本四県等との連携による、徳川家康ゆかりの金山をテーマとした「黄金KAIDO」や、日本庭園と伝統建築をテーマとした「にいがた庭園街道」など、歴史や文化に沿ったストーリー性のある周遊ルートづくりと、誘客に向けた情報発信に取り組んできたところです。今後も、地域の魅力や歴史などに精通した市町村等の協力を得ながら、周遊型観光の推進に向けて、訴求力のあるストーリーづくりを積極的に行ってまいります。
(8)黄金KAIDOプロジェクトへの県内事業者の参画促進について
〔八木〕
新潟、長野、山梨、静岡の中央日本4県で、国内外からの観光誘客に取り組む観光プロジェクトとして、令和5年の5月に立ち上げた「黄金KAIDOプロジェクト」は新たな誘客・周遊を促進する素晴らしい取組と感じています。このプロジェクトをさらに活性化するため、観光関係者をはじめ、より多くの県内事業者を巻き込む必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
〔知事〕
本プロジェクトは、本県を含めた中央日本4県と、フェリー事業者など民間事業者が連携して立ち上げ、7月以降、誘客と周遊を促進するための取組を進めてきたところです。今後、プロジェクトを活性化し、エリア全体として旅行者の往来や観光消費の増加につなげていくためには、より多くの事業者から協力を得ていくことが重要と考えております。11月に、4県共同により、プロジェクトの協賛企業の募集を開始したところであり、今後、多くの事業者の参画を得ながら、プロジェクトを展開してまいりたいと考えております。